原発と自粛

  • 2011.03.16 Wednesday
  • 22:48
今回の震災で被害に遭われた方、また現在その救援に携わっている方の無事を祈りつつ、福島の原発の情況がいまだ予断を許さない中、こんな番組があったことを知る。

『隠された被爆労働』(イギリス4チャンネル、1995年)
http://www.youtube.com/watch?v=92fP58sMYus
http://www.youtube.com/watch?v=pJeiwVtRaQ8&
http://www.youtube.com/watch?v=mgLUTKxItt4&

もちろん現在では結構改善されてきているものの、基本的な構図は変わっていないし、現在作業に従事している労働者も多くは限度ぎりぎりかそれ以上の被爆となっている。

福島の原発での情況はいまひとつよくわらかないままだが、電力会社や経産省の影響の少ないところだと、こんなにもクリアに説明できてしまうのか…。

クリアにすべき情報は、現時点での情況はどうなっているのか。現在行なっていることが成功した場合と失敗した場合、それぞれどうなるのか、その次の対応にはどのようなものがあるのか、それらが失敗した場合にはどのような被害がもたらされてしまうのか、これらをクリアにしなければ、一方で、放射線被爆を恐怖するだけの言説と、放射線被爆はたいしたレヴェルではないとする言説とに二分したままで、不安の渦中から抜け出せない。

このような中、行なわれているのは「協力」と「自粛」という総動員体制である。もちろん協力はどんどんすべきだ。それも適切な形で。しかし自粛にどこまで意味があるのかはあやしい。

ヴェイユ的「祈り」ならばともかく、世界で現に起きている悲惨な出来事に対しては鈍感で、国内的な問題に対してのみ、一時的な「自粛」を行なうのでは、単なる集団的な過剰同調心性の発露としか思えない。そこには、本当に被災者を心配している心情よりも、異質な他者を許容しない狭隘な精神が隠れているだけのようにも思われる。

既に、誰も悪くない、ただ今を一生懸命皆で乗り越えるだけだという免責の言説が幅を利かせている。これは「良いか悪いかは別にして」という常套句でよく語られる私小説的な語りだ。地震は天災だが、原発の事故は人災の側面が濃い。

古い原発の点検を怠り、安全装置の設置を行なわず、津波の影響を過小評価し、そして原発による電力供給のみをひたすら推進してきたことのツケは大きいからだ。この責任は、むろん東京電力、経産省、原子力安全・保安院にあることは明白だ。

地元の買収をはじめとした原発の推進方法はまさに腐敗の温床だ。現在世代だけでなく未来世代に対しても責任を持った生活をするためには、上記3者のつながりを断つことがこの事故の後に行なわれなければならない。

むろん都市部にいる私自身の生活も大いに改めて行く必要がある。少しの便利さのために、電気を消費することで、無用な負荷を自然にも社会にもかけてしまうことは、できるだけなくして行く方向で生活を見直そうと思う。
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