一般化と仕方なしに抗するには

  • 2011.04.07 Thursday
  • 09:02
日々、危険なデータから安全なデータまで、さまざまなデータがメディアで流れる。代替エネルギーへの模索を回避してきた日本のエネルギー政策も見直しが必要にあると思うが、例えば、経団連会長の談話にもあったように、原発は安全策をしっかりしていれば大丈夫だというものがある。

福島第2原発が問題なく停止しているのに対して、第1原発が現在の事態になっているのは、その設計ミスにあるというもので、そこさえしっかりすれば、原発は安全なのだという見解だ。

しかしこの種の一見冷静に思われる現状分析は、今回の事態を安全設計一般の問題へと摩り替える効果を発揮してしまう。何十万という人々が避難を余儀なくされ、数万人規模になる死者、そしてその死者の何十倍もの関係者の受けた苦痛という個別の事件が一般化されることには注意が必要だ。

それとともに、死者数を比較しての「相対化」にも気をつける必要があるだろう。これはナチスのユダヤ人迫害、日本軍の731部隊や南京の問題などでも見られたが、今回の複合的な人災とも言える事態を、より悲惨な事態でもって相対化することには気をつけないといけない。

数値化や冷静なる分析の陥穽というか、そうしたものがそぎ落としてしまう個別性という問題をどうすくいとっていくのか、難しい問題が依然残っているように思われる。

さて、10日に、反原発のデモが予定されている。先月にはドイツで20万人規模のデモがあった。原発を即刻、あるいは段階的に廃止すべきだという意見、現在計画 中の原発建設を中止すべきだという意見、浜岡原発を即刻停止すべきだという意見など、もろもろあるが、反原発のうねりが生じていない中、こうした動きを表 面化する意味合いは大いにある。

昔、丸山眞男が戦後デモクラシーの本質を、仕方なしデモクラシーと呼んだように、現状を説明する際に非常に都合のよいいいわけとして「仕方が無い」が流通している。

これは、主張や理論の妥当性が時代遅れかどうかで認識される心性とも関連している。今は、こういう事態だから、これこれのことも仕方が無い・許される。あるいは、今の状況だから、自分のことは或る程度我慢しなければならない。

こうした心性は理解はできるが、すべてを正当化する「いま」という根拠には内実がない。単なる情況倫理であり、あしき「現実主義」だ。

このような心性を突き崩すことは甚だ難しいが、反原発デモはその一つのとっかかりになるかもしれない。
コメント
反原発の意思表示は可能な限り行うべきですね。暴走的消費資本主義にブレーキをかけることが必要です。余りにも物質的豊かさだけが追求され過ぎたようです。

放射能漏れによる被災者に懺悔しなければならないのは、「消費は美徳」の方向に突っ走った我々でもあるが、今回の事故を謙虚に反省する当事者の姿勢が見えない。

東電の役員や管理職の方々は報酬をなげうってでも被災者に懺悔しなければ当事者は許さないだろう。
原子力委員会や経済産業省など役に立たない官僚機構は、退職金なしで即刻辞任させ、被災者にお詫び懺悔すること必要ではないだろうか。

そうでもしなければ、被災者の怒りは収まらず反乱すら起きかねない。

まだまだ甘い経営者と施政者の姿勢ですね。
少し過激すぎたでしょうか。身内に軽度ですが被災者がいて、今にも放射能の影響が及ぶかもしれないということになると、真剣に悩みますよね。当事者にならないと苦しみは理解できないようです。
  • jupiter
  • 2011/04/22 3:05 PM
まったくおっしゃる通りですね。経産省、東電、政治家などが一体となって原発推進をしてきたわけですから、当然、その責任をしっかりと果たしてもらいたいところです。

しかし、この間の東電などの姿勢をみると、どこか他人事というか、運が悪い時に役員になったなぁという雰囲気を感じますね。

かけがえのないものが奪われたということは、金銭的補償をしても、まったくもって取り返しがつかないということを深く感じ取ってもらいたいものです。

そして、私ども、東京に住む者はこれまでの生活の抜本的な見直しをしなければなりませんね。
  • i-41
  • 2011/04/22 10:37 PM
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